家庭内ネットワークにおいて、接続する機器のIPアドレスを固定すると、ちょっとしたメリットを得られることがあります。特に、デスクトップPCやプリンターなどの機器を利用する際に安定したアクセスが可能になり、おうちネットワークの利便性が向上します。実は筆者の家でもデスクトップPCとルーターはIPアドレスを固定で設定しています。
この記事では、IPアドレスの基本から固定するメリットや注意点、実際に固定する方法までを中級者向けに解説します。ご家庭でのネットワーク管理を一歩進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
IPアドレスとは?
IPアドレス(Internet Protocol Address)とは、ネットワーク上の機器に割り当てられる識別番号のようなものです。家庭内ネットワークでも、スマートフォン、パソコン、プリンター、スマート家電など、ネットに接続するすべての機器にIPアドレスが割り当てられます。
IPアドレスについては以下の記事でさらに詳しく紹介しています。

パソコンやスマートフォンでインターネットを利用する際、必ずIPアドレスを設定する必要があります。しかし、私たちはIPアドレスを意識しなくても利用することができます。一体なぜでしょうか。
それは家庭用ルーターではDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)という仕組みにより、自動的にIPアドレスが振り分けられるためです。DHCPはとても便利な機能ですが、時にはDHCPを利用せず、手動でIPアドレスを設定した方が良いこともあります。それではIPアドレス固定により、どのようなメリットを享受できるのかをみていきましょう。
IPアドレス固定のメリット
特定のデバイスにアクセスしやすくなる
IPアドレスを固定することで、デスクトップPCやNAS(ネットワークHDD)、ネットワークプリンターなどの特定のデバイスに対して常に同じアドレスでアクセスできるようになります。これらの機器はパソコンやスマートフォンによってアクセスされる側の機器、いわゆるサーバー機能を持つ機器たちです。IPアドレスが毎回変わると、私たちはその都度DHCPで割り当てられたアドレスを調べてからアクセスすることになるので、少し手間になってしまいます。(実際はDHCPの場合でも同じ機器には同じIPアドレスを割り当てるような仕様になっている場合も多いですが。)

このような機器に対してIPアドレスを固定することで、毎回同じIPアドレスを利用することができるので、作業効率が大幅に向上します。
ネットワーク接続がスムーズになる
IPアドレスを固定すると、デバイスがネットワークに接続する際のプロセスが短縮されるため、接続がスムーズに感じられることがあります。
普段、家のWi-Fiや有線LAN接続時にあまり遅延を感じていない方は固定することで得られる速度向上はわずかだと思います。逆に遅延することが多い方にとっては良いソリューションになります。

接続が遅延することは地味に多く、例えばパソコンを有線LANに接続するときなぜか「IPアドレスを取得しています」などの状態から一向に進まない場合が多々あります。このような事象が発生している方はぜひIPアドレスを固定してみてください。接続時間が大幅に短縮し、とても満足度が向上すると思います。
注意点
家のネットワーク以外では接続できなくなる
固定したIPアドレスは、基本的にはそのネットワーク内でのみ有効と考えてください。外出先など別のネットワークに接続した場合、IPアドレスを固定にしたままだと接続トラブルが発生してしまいます。そのため、ノートPCやスマートフォンなど持ち運ぶ機器には、固定IPの設定は慎重に行う必要があります。
普段光回線を利用している人が、テザリングやポケットWi-Fiを利用する場合も異なるネットワークとして扱われます。具体的なシチュエーションとして、光回線が遅くなってしまったときに代替手段としてスマートフォンのテザリングを利用する場合、IPアドレスを固定してしまっていると接続できなくなってしまいます。このような場合は、固定から自動に設定変更を行ってから接続を行う必要があります。慣れていないとここでなぜ接続できないかの原因分析に時間がかかってしまいます。
ノートPCは有線用と無線用それぞれでIPアドレスを設定することができます。そのため、家の中では基本的に有線LANを利用して外では基本的に無線LANを利用する方は、有線LANだけ固定IPアドレスにする、といった設定にするのがよいでしょう。外でも使うのか、有線か無線かどちらを使うのか、などの皆さんのシチュエーションによって設定を変更するのがよいでしょう。
IPアドレスの管理が必要
固定IPを設定すると、ネットワーク上のIPアドレスの割り当てを自分で管理する必要があります。同じアドレスを別の機器に割り当ててしまうと、IPアドレスの競合が起こり、接続できないなどのトラブルになります。
例えばNASとWebカメラの両方を持っている家で同じIPアドレス(例えば192.168.1.1)を設定してしまったとしましょう。この場合、IPアドレスがバッティングしてしまうので、両方の機器に正常にアクセスすることができなくなってしまいます。

少し面倒ですが、このデバイスにはこのIPアドレスを割り振った、といった情報をメモ帳やExcelなどを用いて管理する必要があります。
DNSの手動設定も必要
これまでずっとIPアドレスに着目して話してきましたが、IPアドレスを手動で設定する場合、多くの場合DNS(Domain Name System)サーバーのアドレスも手動で入力する必要があります。一般的には、ルーターのIPアドレスを指定するか、パブリックDNSサーバーを使う方法が取られます。
パブリックDNSサーバーについては以下の記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。

IPアドレスの固定方法
それでは様々なデバイスに対してIPアドレスを固定する方法をみていきましょう。ここでは、主要なデバイスごとにとてもわかりやすく手順を解説してくれているサイトをご紹介します。buffaloさんのサイトがとてもわかりやすかったので多めです。
Windowsの設定方法

Macの設定方法
iPhoneの設定方法

Androidの設定方法

補足
ここではデバイス側でIPアドレスを固定する方法を説明してきましたが、実はルーター側で各デバイスに割り振るIPアドレスを固定する方法もあります。ただ、これまで説明してきた固定方法とは大きく異なるため、メリットや注意点も異なるものになります。こちらもとても便利なのでいつか別の記事で解説しようと思います!
おわりに
家庭内ネットワークにおけるIPアドレスの固定は、機器の安定運用やネットワークの見通しを良くするうえで非常に有効です。ただし、適切に設定しないとトラブルの原因にもなりますので、注意点をよく理解したうえで導入しましょう。
まずはNASやネットワークプリンターなど、ほとんど動かすことのない機器から固定を試してみるのがおすすめです。自宅ネットワークの安定性と使い勝手を向上させる一歩として、ぜひ挑戦してみてください。