無線ネットワークの通信速度向上のために、チャネルボンディングは非常に有効な技術です。本記事ではチャンネルボンディングの基本について解説します。
チャネルボンディングとは?
チャネルボンディングは、複数の無線チャネルを組み合わせて、より広い帯域幅を提供する技術で、Wi-Fi 4 (IEEE 802.11n)以降の規格で広く使用されています。この技術により、無線ネットワークの通信速度が大幅に向上します。
チャネルボンディングの基本原理
まずチャネルとはなんでしょうか。チャネルはチャンネルとも呼ばれ、無線電波の周波数帯のことを意味します。ただし周波数と言われても想像がつきづらいかと思いますので、データが通ることができる道路をイメージしていただくと理解しやすいです。
通常の無線ネットワークでは20MHzという幅の道路で通信が行われます。チャネルボンディングを利用することで、隣接する2つ以上の道路(チャネル)を組み合わせて1つの車線の多い道路(広帯域チャネル)を形成することができます。例えば、20MHzのチャネルを2つ組み合わせると40MHzのチャネルが形成されます。
つまり道路の幅が2倍になるので通ることができるデータ量が2倍になり、通信速度(帯域幅)が倍増します。一般的に無線の電波は有線ネットワークよりも遅いですが、この技術を利用することで、無線LANでも十分に通信速度を速くすることが可能となります。
ちなみに執筆時点の最新技術では最大16のチャンネルを束ね、320MHzというとても広い道路を形成することができます。家電量販店で無線ルータを購入する際、Wi-Fi 6, Wi-Fi 7などの規格が大きくフィーチャーされているのはこのチャンネルボンディング技術の進化も一つの要因なのです。
一般的な設定方法
ルータの管理画面へのアクセス
- ブラウザを開き、ルータのIPアドレス(各家庭によって異なるが、通常は 192.168.1.1 など)を入力します。
- ユーザー名とパスワードを入力してログインします。
チャネルボンディングの有効化
- 管理画面の無線設定(Wireless Settings)を開きます。
- チャネル幅(Channel Width)オプションを探し、40MHzや80MHzなどを選択します。
- 設定を保存し、ルータを再起動します。
注意点
電波干渉の恐れ
無線LANで使用可能な周波数帯は国によって定められており、それは無限に使えるほど広く割り当てられているわけではありません。複数の無線で同じチャネルを使用してしまった場合は電波干渉が発生し、通信断や遅延に繋がってしまいます。
チャンネルボンディングは通常よりも広いチャネルを使用するため、何も調べなければ、その分、電波干渉が発生する可能性が高まります。特に都会に住んでいる方は近隣住民との家の距離が近いため、電波干渉する可能性が高いです。干渉を最小限に抑えるために、適切なチャネルを選択することが重要です。自分の家でどの程度無線の電波が飛んでいるかはWi-Fiアナライザーツールを用いて測定可能です。
2.4GHzと5GHz
無線の周波数帯には大きく分けて6つあり、聞いたことがあるかもしれませんが、2.4GHz帯と5GHz帯、6GHz帯があります。それぞれの特徴についてここでは詳細は割愛させていただきますが、チャンネルボンディングを行うのは5GHzと6GHzのみとすることを推奨します。
理由は2.4GHzはとても狭い周波数帯で、先ほど述べた電波干渉が大きいからです。ただでさえ2.4GHzの周波数帯は混雑していることが多いのに、チャンネルボンディングを利用することで電波干渉が発生する可能性は倍になってしまいます。
逆に5GHzや6GHzは2.4GHzと比べると比較的大きな周波数帯となっているため、適度なチャンネルボンディングを行っても大きな干渉は発生しません。
端末側の対応も必要
せっかく無線ルータ側でチャンネルボンディングを設定しても端末側がそれに対応していなければ、広帯域の恩恵を受けることはできません。どの程度のチャネル幅を利用できるかどうかはWi-Fi規格(Wi-Fi 6, Wi-Fi 7など)に依存します。無線ルータがWi-Fi 6に対応しているのであれば、同じく本規格に対応しているパソコンやスマートフォンを選ぶことが推奨です。
まとめ
チャネルボンディングは、無線ネットワークのパフォーマンスを大幅に向上させる強力な技術です。適切な設定と管理により、より高速なネットワーク環境を実現できます。この記事を参考に、ぜひチャネルボンディングを試してみてください。