現代のネットワーク環境では、無線LANが主流となっており、有線LANを知らない方も増えています。しかし有線LANには無線LANにない大きな利点があり、知らないまま過ごすのはあまりにももったいないです。それぞれの特徴を理解し、適切に使い分けることで、より快適なネットワーク環境を構築できます。本記事では、有線LANと無線LANのメリットを比較し、最適な使い方についてご紹介します。
有線LANについて
有線LANとは
まずは有線LANとは何かをご説明します。有線LAN(Local Area Network)は、LANケーブルと呼ばれる、物理的なケーブルを使ってデバイス同士をネットワークに接続する方式です。一般的に、家のネットワークではWi-Fiルータから机までLANケーブルを敷設し、パソコンと接続したりする際に利用されます。
昔はこれが一般的なネットワーク接続方法だったのですが、最近は無線の普及によりだんだん利用されなくなっています。実際、iPhoneやAndroidなどのスマートフォンに有線LAN用の接続口はありませんし、最近はパソコンまでも接続口の無いモデルが増えています。
有線LANのメリット
そんな有線LANを利用すると、どういったメリットを享受できるのでしょうか。以下に、有線LANの主なメリットを挙げます。
安定した接続
有線LANは、物理的なケーブル接続による通信のため、通信は非常に安定しています。無線LANのように電波が障害物に遮られたり、周囲の電子機器や他のWi-Fiネットワークの影響を受けることが少ないため、接続が途切れることがほとんどありません。特に、大量のデータを長時間にわたって安定して送信・受信したい場合や、ビデオ会議やオンラインゲームなどリアルタイム性が求められる状況では、有線LANの安定性が非常に重要です。
高速なデータ転送速度
有線LANを用いると、とても高速なデータ転送を実現することができます。最近では無線LANも速度向上が進んでいますが、やはり有線LANの方が上手です。100Mbpsや1Gbpsにとどまらず、上位の規格を用いると10Gbpsや25Gbpsも実現可能で、数GB単位の大容量ファイルも迅速に転送することができます。特に映像編集や大規模なデータバックアップなど、高いスループットを要求される作業においては、無線LANよりも有線LANの方が圧倒的に効率的です。
ただしネットワークの速さについては、家の中だけではなく様々な要素が関係して決定されるため、単純に有線LANで接続しただけでは必ず速くなるとも限りません。以下でネットワークの速さの決まり方について解説しているため、よければご参考にしてください。
有線LANのデメリット
続いては、有線LANが衰退傾向にある原因となっている、有線LANの主なデメリットを紹介します。
ケーブルの配線が必要
容易に想像がつくかもしれませんが、有線LANの最大のデメリットは、ケーブルの配線が必要なことです。これにより、設置場所が制限されるだけでなく、配線が煩雑になりがちです。特に、大きなお家や2階建てのお家での配線は手間がかかります。
利用場所の制約
有線LANは物理的なケーブルを必要とするため、デバイスの移動が制約されます。ケーブルの長さや配線の取り回しによって、接続可能な範囲が限定されるため、柔軟性に欠ける点が挙げられます。
無線LANについて
無線LANとは
無線LANという言葉に聞き馴染みの無い方々もいらっしゃるかもしれませんが、無線LANとは、いわゆるWi-Fiのことです。Wi-Fiを利用したことがある方は多いかと思いますので、こちらはイメージがしやすいかもしれません。
無線LANは物理的なケーブルを使わずに、無線でデバイスをネットワークに接続する方式です。Wi-Fiルータやアクセスポイントを中心に、スマートフォンやパソコン、タブレットなどが電波を通じて接続されます。
無線LANのメリット
自由な場所からの接続
無線LANはケーブルが不要なため、デバイスの配置が自由です。家庭内での移動が簡単で、複数のデバイスを手軽に接続できます。
容易なネットワーク構築
無線LANは、物理的な配線が不要なため、構築がとても簡単です。多くの家では光回線にWi-Fiルータを接続するだけのシンプルな構成を取っています。この場合、光回線~Wi-Fiルータ間以外は一切物理的なケーブルを敷設しなくてもよいためとても楽になります。
多数のデバイス接続
無線LANでは、多くのデバイスを同時に接続することができます。スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなど、複数のデバイスを同時に使用する現代のライフスタイルにとても適しています。
無線LANのデメリット
低速で安定しない通信
無線LANは、有線LANに比べて通信速度は遅く、安定性が低下しやすいです。特に、多くのデバイスが同時に接続される場合や、距離が遠い場合、安定性が低下し、通信速度が低下してしまいます。
セキュリティのリスク
無線LANは、電波を通じて通信を行うため、セキュリティリスクが高まります。特に、暗号化が不十分な場合やパスワードが弱い場合、不正アクセスの危険性があります。適切なセキュリティ対策が必要です。無線電波は壁を超えるため、自宅の無線電波がお隣さんの家まで届くことは多々あります。万が一お隣さんが悪い人だったとき、通信を盗聴されてしまう可能性もあります。こちらについては、電波が全く外に漏れないようにすることは難しいため、脆弱なパスワードやWi-Fi規格を利用しないことが対策となります。
最適な構成:有線LANと無線LANの併用
有線LANと無線LAN、それぞれのメリット・デメリットをご紹介させていただきました。本記事で一番伝えたいこと、それは家のネットワークにおいて有線LANと無線LANそれぞれのメリットを活かしながら併用することをおすすめするということです。状況に応じて両方を適切に使い分けることで家のネットワークは格段に良くなります。以下では併用するとどんな利点があるのかについてみていきましょう。
併用の利点
- 安定性と柔軟性の両立:固定されたデスクトップPCや据え置き型ゲーム機には有線LANを使用し、移動が多いデバイスには無線LANを利用することで、安定性と柔軟性を両立できます。
- 用途に応じた最適化:オンラインゲームやビデオ会議など、低遅延、安定性が求められる場面では有線LANを使用し、通常のインターネット利用やストリーミングには無線LANを利用することで、快適なネットワーク体験が可能です。
具体的な併用例
先ほど説明させていただいた通り、有線LANと無線LANにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、それらをうまく使い分けることが大切です。例えば以下のように併用するのがおすすめです。
有線LANの利用例
- テレワークなどでデスクで利用するパソコン
- オンライン対戦を行う据え置き型ゲーム機
- テレビやFire TV Stickなどの映像出力機器
無線LANの利用例
- スマートフォン
- Amazon EchoやGoogle HomeなどのIoT機器
まとめ
有線LANと無線LANにはそれぞれの強みがあります。これらを併用することで、安定性、高速性、柔軟性を最大限に引き出し、快適なネットワーク環境を構築できます。家庭やオフィスの環境に応じて、最適なネットワーク構成を考えましょう。